6月18日の山形県沖の地震で液状化が発生した。
防災地図としてハザードマップがあるが,防災のための地図というものをもう一度考えると, 被害を未然に防ぐために行われる取り組みであり,災害を未然に防ぐ被害抑止,あるいは,被害の拡大を防ぐ被害軽減のための地図である。そして,この地図は,公助・自助・共助としてのベースとならなければいけない。要するに災害から身を守るための地図である。
その地図を見てみると,250mのメッシュでは作られているようだが,その背景となる地図や縮尺が表現手法として適切にはなっていないように思う。
これでは,一個人がその被害を予測して対策を立てたり,避難時に対応することは不可能ではないだろうか。
行政が悪いのか,受注業者が悪いのか。
この問いは,両者ともに悪いと思われる。専門知識がある行政職の人は多くない。また危機管理担当部署の多くは一般行政職であることが多い。さらに河川や土砂災害のハザードパップは河川や砂防担当部署に技術屋が対応することになるが,先ほど言ったように地震の場合は一般行政職である。
一方,受注者は,入札条件によってかわるため,その専門性を縛ることもできるし,制限を設けないこともできる。そこで,重要になるのが,専門知識を行政職も受注業者も持っているかという点になる。
今回のケースからすれば,印刷ベースを念頭に予算でできる範囲で実施したということがあげられるのではないか。当然,町会ごとにすれば,地形との対応できる地図が完成するが,鶴岡市全体の地図にしてしまったという点から,行政の能力不足や予算主義の結果であったことがあげられる。
電子化されつつある昨今の防災を考えるうえで,地理学会の「地域調査士」や内閣府実施の「 防災スペシャリスト養成研修 」で地図に関わる人材育成をもっと積極的に実施するべきではないだろうか。